2009年09月18日

野次馬

実社会において、我々の99%は野次馬です。

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明日から、降って沸いたような5連休の人も多いことと思います。私もこのところ年度上期の予実算やらで無駄に忙しかったのですが、連休を目の前にしてなにやら開放感に浸っています。休み明けが近づくと、また会社生活に戻るのか…という思いが募ってくるのも、毎度のことですが。

連休中に観光地を巡る人も多いと思います。鳩山民主党政権になって目玉公約の一つ「高速道路無料化」が早晩実現するということで、ETCを買い控える人が多いそうです。ついこの間までは「ETC乗り放題1,000円政策」のおかげで特需に沸いたばかりでしたが、そもそも有料道路というものが日本列島からなくなってしまえばETC自体「不要な機器」になるわけで、その辺は複雑です。

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話が大分逸れましたが、「観光をする」という行為は、「観光地に野次馬に行く」と言い換えてもそれほど間違いではありません。
私が小学校の頃、近所で火事があったことがありました。普段は閑静な住宅街のどこにこんなに大勢人がいたんだろうと思うほど多くの野次馬でごったがえしていました。
人間が見世物に群がる「野次馬」という現象は、生物学で言えば、夜に昆虫類が燈火に集まったり、植物が光の方向に屈折する「走光性」と同じ原理によるものなんでしょうか?そもそも、見世物に群がることで身体的・金銭的な得をするわけでもないのに、わざわざ見に行きたがる人間の性癖の理由には、そこに何らかの「快感」があるからだと思われます。

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「野次馬」の語源は、「親父馬」が変化したものだそうです。年を取った馬(=親父馬)は若い馬の後をついていくことしかできないから転じて使われるようになりました。
この野次馬が効果的に使われる漫画のジャンルが「料理勝負漫画」と呼ばれるものです。
「包丁人味平」、(デハさんの嫌いな)「スーパーくいしん坊」といったビッグ錠の作品や、「ミスター味っ子」、「将太の寿司」といった寺沢大介の作品は大概このスタイルを取っています。
スタジアム状になった料理対決の会場にのスタンドに、自分が食べるわけでもないのに多くの観衆(野次馬)が訪れ、ああでもないこうでもないといろいろな薀蓄を述べるのです。
「包丁人味平」の「潮仕立ての吸い物」勝負で、観衆が「そうか!味平から滴り落ちた汗で、ちょうど良い塩加減になったんだ!」と叫ぶシーンなど、「実に細かく勝負の行方を見守っていたんだな」と感心させられます。

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料理漫画は、読者がその料理の味を味わうことができないので、解説者としての「野次馬」が非常に重要なわけです。雁屋哲原作・花咲アキラ作画「美味しんぼ」は、そのような野次馬が主人公とヒロインになった画期的な漫画でした。一応主人公の山岡士郎も自分で包丁を握るのですが、その本領は自分の腕で料理を作ることでなく、腕のいい料理人を連れてきて何故美味いか薀蓄を傾けるところにあります。それは陶芸家と言いながら作中では陶器を作っているシーンは滅多に出てこない代わりに、他人の作った料理に対して「このあらいを作ったのは誰だあ」と怒ってばかりいた親父の海原雄山譲りです。

漫画界の料理勝負を実写化した番組「料理の鉄人」は一世を風靡しましたが、今からちょうど10年前の1999年9月に放映を終了しています。

(本文と写真は関係ありません)
posted by シモン at 18:00| 東京 ☁| Comment(8) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
勝負ものの漫画作品においては、大観衆:大技に対する大袈裟なリアクションをする役割、勝負を見届ける当事者の身内:薀蓄垂れ、の構図で成り立っています。これらの野次馬が作者の解説や登場人物の心理描写の代弁者の役割が与えられている、と予てから感じています。
ところで政治の世界の野次馬は有権者ですが、薀蓄を垂れるメディアは大衆迎合の偏向報道ですから、漫画の世界に比べても偏った選挙結果となりがちです。特に小選挙区制という一見解りやすい勝負ごととなってからこの傾向が顕著です。
一方会社生活は本来仕事に野次馬などないと建前を言っていますが、バブル崩壊後は経営環境の激変が常となり愛社精神も揺らぐ中で野次馬的な社員が増えていると感じます。情報技術の発達で個人が抱える知識・技術が膨大となり制御出来なくなっているのも原因と思いますが…
Posted by HB at 2009年09月19日 14:57
私自身は年々会社内での相対的な位置が中心から遠くに外され、徐々に野次馬化しているような焦燥感を感じています。

ところで「包丁人味平」のパロディで、相原コージ+竹熊健太郎が描いた「眠り人眠太郎」という幻の漫画があることをご存知の方はいらっしゃるでしょうか?
料理勝負でなく、睡眠勝負という設定のこのマンガ、「サルでもかける漫画教室」の劇中劇として登場しましたが、結構面白かったです。
Posted by A2Z at 2009年09月19日 15:27
小選挙区制を導入したのは、確か橋本龍太郎の時代でしたっけ?小泉元首相は、海部内閣の頃に反対側に回ってたと記憶しています。

いずれにせよ、この国の民主政治は一部の「解説者」たるマスコミ+評論家によって牛耳られていて、野次馬である国民=一般大衆は解説者の薀蓄を聞いて「なるほどぉ」とどよめくだけの集まりのようですね。
Posted by 無名X at 2009年09月19日 16:27
このブログを見に来ている私も野次馬でございます・・・。
Posted by ラー at 2009年09月19日 17:02
おはようございます。
>HBさん
いつも鋭いご指摘ありがとうございます。確かに、薀蓄を垂れる解説者と煽動される群衆の間には越えられない分水嶺がありますね。今回の選挙、その煽動されっぷりがかなり極端でした。空腹な群集は頭でなく腹でモノを考える、といったところでしょうか。
>A2Zさん
「サルまん」の「眠太郎」知ってますよ。「睡眠中の脳波が、台風の目を表現している」なんて最高ですね。
>無名Xさん
そうです橋龍の頃です。あの時は自民党有利な選挙制度だと今の民主党の面々は反対していたような…
>ラーさん
これからも見に来てください。
Posted by シモン at 2009年09月20日 08:22
政治ネタは異様に盛り上がってますね。
怖くて引いてしまいます…。
Posted by nakatsu at 2009年09月21日 01:54
いわゆる床屋談義という奴ですよ。
怖がるほどのものでもないような。
Posted by A2Z at 2009年09月21日 06:31
民主党により日本滅亡のカウントダウンが始まりました。
ブレーキ役を期待していた綿貫氏の落選・引退が今となっては最も無念です。
Posted by デハ at 2009年09月23日 12:30
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