2009年11月01日

受験雑誌

今はもう休刊になった受験雑誌を回顧してみます。

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今日から11月ですね。紅葉の季節であり、受験生にとってはそろそろ本番への第3コーナーを回った時期だと思います。
受験勉強というのは個人的にもトラウマなのか、この年齢になっても夢に出てきます。何故か世界史の暗記物が手が回っておらず焦っている…というところで目が覚めます。数十年前の受験時代の実体験をリピートしているのかもしれません。

さて、受験産業といえば塾・予備校・通信添削…といろいろありますが、出版社が科目単位の「受験雑誌」を発行していました。
「受験雑誌」も広く解釈すれば「高三コース」(=「降参コース」と呼んで揶揄していました)や「蛍雪時代」(=「軽率時代」とも…)も一種の「受験雑誌」ですが、もう少し踏み込んでより実戦指向の雑誌が英・数・国で月単位で発行されていました。

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私はその三教科のいずれも(一応)購入していました。まず数学は「大学への数学」(東京出版)があります。巻末に実力テストがついていて、応募すると高得点者は翌月号に載る、というところが競争心をくすぐっていました。難関校向けの雑誌だったので難問が多く、解けた時はカタルシスでしたが解けなかった時は悶々として過ごさねばなりません。この雑誌は2009年11月現在もまだ刊行され、多くの受験生に数学の楽しみ(と苦しみ)を教え続けています。

英語では「高校英語研究」(研究社)という雑誌が発刊されていました。この雑誌は「大学への数学」がひたすら難問ばかりを集めていたのと異なり、「英語文化のエッセンスを感じさせてくれる雑誌」でした。研究社は英語教育界ではかなり有名な出版社で、私のクラスの3分の2ぐらいの同級生は緑色の函に入った研究社の英和辞典を使っていました(=私自身は、三省堂のコンサイスでしたが…)。
「高校英語研究」略称「高英研」で目覚めた友人の一人は、同じ研究社発行の英文学専攻者向けの雑誌「英語青年」も購入していました。彼はその後英文科に進んだので「高英研」「英語青年」で受けた薫陶が人生の役に立ったと言えるでしょう。
「高英研」では、「自然な英語の訳し方」が豊富な例を使って丁寧に解説されていました。例えば「Oh, boy」という文章を「おお少年よ」と訳すのは大間違いで、「おやまあなんとしたことか」が正しい訳だ、という具合です。同様に「Jesus Christ!」は、キリスト教に関する本でもない限り「キリスト様!」と訳すのではなく「こん畜生!」と訳すのが正しいということも知りました。
残念ながら、「高英研」は1997年に休刊となり、「英語青年」もweb公開限定となり、印刷物としての雑誌は休刊となりました。

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国語には、英語の「高英研」同様の受験雑誌「学燈」(学燈社)がありました。考えてみれば、受験の世界の国語というものは「最も満点が取りにくい科目」なのかもしれません。気ままな読書なら、小説やエッセイをどのように解釈して楽しむのも自由ですが、受験のための国語という世界には、出題者が想定した「答え」を当てなければ正解にならないのです。
現代文でも大変な上に、古文などはなおさらです。今昔物語集の一節を読まされ、「この時の「下人」の心情を記せ」と言われても、そんな大昔の人の気持ちなんかわかりませんがな…では済まされないのです。で、考えに考えた挙句「羅生門で死人の髪を奪う老婆の姿に、人の世のはかなさと無常観を感じた」と答えたところそれは不正解で、「俺もひとつ泥棒でもやってみよう」が正解でした、と言われてガク!となった記憶があります(=なので私にとって「学燈」ではなく「ガク倒」でした…)。
研究社の「高英研」「英語青年」同様、学燈社の「学燈」「國文學」も2009年をもって休刊となりました。

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先日「小学五年生」「小学六年生」の休刊も報道されました。かつて学生の生活のリズムを律していた雑誌が次々に休刊するのは時代の流れとはいえ寂しいものです。

(本文と写真は関係ありません)

posted by シモン at 08:30| 東京 ☀| Comment(9) | TrackBack(0) | 受験勉強 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
団塊ジュニア世代の私の大学受験は数字上は史上最大の激戦で、模試の成績に一喜一憂したり志望校選び・受験スケジュールに作戦を練ったり、受験結果を巡る人間模様とか大変な時代でしたが、一般的に本格的な受験勉強は高三になってからでした。私の場合は部活動が夏休みまで続き、日頃の不勉強も祟って大方の予想通り一浪、予備校の前半を基礎からやり直す羽目となりましたが、皮肉にも受験テクニック以前に基礎を積み上げた事が後半戦のリベンジに繋がりました。
最近は少子化で各学校存続が厳しくなっている上、不況による就職難が学生・保護者の危機感を煽り受験勉強の開始時期が前倒しになっていると聞きます。高校の進路指導がきめ細かくなっただけでなく、通信インフラの普及で予備校のサテライト授業が地方でも簡単に受けられるようになり、早い時期から受験テクニックを詰め込める様になった反面月刊の受験雑誌や独学での受験が難しくなりました。入試問題も、かつては各校独自色が出ていましたが今では一部難関校を除きセンター試験の併用か、センター試験もどきの選択問題が大半です。
Posted by HB at 2009年11月01日 11:17
私立文系の私は、「高校英語研究」の他にもうひとつ、「受験の世界史」という雑誌を買ってました。でも買っただけであまり真面目にやった記憶がないです・・・。
>「俺もひとつ泥棒でもやってみよう」が正解でした、と言われてガク!となった記憶があります
⇒これは悪いですけど笑えました。いかにも「優等生的な解答」では×、という例ですね。でも正答例だと「まんまやんけ〜」という感じですね。

ところで3枚目の写真、左の子が着ているポパイのトレーナーが何故か懐かしいです・・・。
Posted by ラー at 2009年11月01日 11:51
受験雑誌全く買ってませんでした・・・
だから2流私大だったんですね。
3種全部買ったシモン様は最高学府ですものね・・・

でもラグビーだけやってたティラノサウルスも大隈に行けて首相になれるのですから不公平ですよね。
Posted by デハ at 2009年11月01日 13:56
受験時代は、・・・忘れました(笑)。
同級生の女の子が気になってました。

ラー様ご指摘の3枚目の彼女、いいですね。上トレーナー下Bルマという組合せがなんとも言えません。
Posted by 無名X at 2009年11月01日 14:21
こんにちは、こちらにははじめまして。
体育すわりフェチ改めファンと申します。

2枚目の写真は、モノクロームの優しい日差しに並ぶ女子たちの光景が郷愁を誘いますね。。

私は受験雑誌は購入したことはありませんでしたが、英作文の参考書で「和文英訳の修行」という古めかしいタイトルの本を買って勉強したことがあります。なにやら格調高い英文が作れそうな題名ですが、役に立ちました。お陰で私は今海外関係の職務に就いています(大して重要な業務ではありませんが)。
シモン様の文章にある「「高英研」「英語青年」で受けた薫陶が人生の役に立った」方がいらっしゃるなら、さしずめ私にとってこの本は「人生の指南書」でした。
Posted by 体育すわりファン at 2009年11月01日 14:58
さっきまで晴れていたのに急に降り出してきましたね。

HBさん
少子化で受験産業界は厳しさを増してきましたね。ゆとり教育とは、実は受験産業を潤わせるための施策だったのではないかと勘繰ってしまう今日この頃です。どこの大学も存続のためにオープンスクールやったりとか大変なようです。

ラーさん
>「受験の世界史」
確かありました!そんな雑誌が。私も共通一次の社会は世界史で受けました(酷い点でした)。倫社にしておけば良かったです。

デハさん
その話は勘弁してください。何しろ、受験の時の努力が社会に出てから何の役にも立ってないので(笑
デハさんこそ、國文學の最高峰を出られて、今の創作活動の源泉になってるではないですか(45話文化祭編、待ってます)。

無名Xさん
私は同級生の女の子に認知してもらいたい一心で勉強に励んでいたような(=逆効果でしたが)。
>上トレーナー下Bルマ
当時の高校生しかできないスタイルですね。

体育すわりファンさん
ようこそ、おいでくださいました。
「和文英訳の修行」知ってますよ。「Even a child knows it」の訳例が「三歳の 子供と謂ゑども 是を知る」と、超文語体(しかも五七五)だったのを覚えております。
Posted by シモン at 2009年11月01日 16:56
受験時代、懐かしいですね
"No, I don't."を「どーんと、NO.1」と訳し、「英語は後ろから訳すのだ!」というたけしのギャグをオールナイトニッポンで聞いてた頃を思い出します(年齢がバレますが)
Posted by A2Z at 2009年11月01日 20:32
それが・・・私文学部じゃないんですよね・・・仕事には却って役立ちましたが。
基本的に私は結婚できた人、自分よりいい大学・高校出た人、自分より高い車乗っている人は羨ましいです。
同級生の女の子・・
中学にはそういう子はいなかったし、高校は男子校でした。でも、見せ付けられることも泣く、幸せな3年間だったと思います。
 私はほんと女の人とは縁がなく、詐欺師の女手さえ私はパスです。
でも、それも今年で終わりにしたい。
Posted by デハ at 2009年11月01日 22:33
おはようございます!
今週は、今日出社すれば明日休みなのでちょっとラクですね♪
>でも、それも今年で終わりにしたい
デハさま応援してます!
頑張りましょう(^^)/
Posted by Captured at 2009年11月02日 04:56
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