2009年11月03日

ニューアカデミズム

今日は文化の日です。

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80年代、象牙の塔と呼ばれる閉鎖的な学問の世界に「ニューアカデミズム」略称ニューアカの旋風が巻き起こりました。
ニューアカとは一体何だったのでしょうか。

70年代後半から80年代にかけて、人間の様々な文化は重厚長大なものから軽薄短小なものへ進化を遂げていました。その典型的な例が芸術で、かつては重々しい「芸術」という固体が昇華して「アート」という気体に変化していきました。コンピュータの分野でメインフレームコンピュータがワークステーションやパソコンに進化するのはまだ10年ぐらい先のことでしたが、ともあれ芸術を筆頭に週刊誌であれファッションであれAV機器であれ、重厚なものはどんどん軽くて薄型に進化していきました。そしてそれを加速していたのは主として広告代理店です。何故なら、軽薄化の結果もたらされる新しい市場のおかげで彼らは潤ったからです。

そんな軽薄化の中、広告代理店はまだ軽薄化されていない分野として「アカデミックな世界」に目をつけました。大学という固い殻の中に閉じこもり、ひたすら権威主義が横行していた「知の世界」にも風穴を空けて新たな市場を開拓しよう。そう目論んだ彼らと、従来の学説に固執しない若手研究者達との間で利害が一致し、ニューアカデミズムという潮流が勃興しました。

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当時のニューアカデミズムのキーパーソンを幾人か列記してみます。

1.浅田彰
京大人文学研究所助手。人間をスキゾ人間とパラノ人間の二つに大分類した。前者はスキゾフレニーの略で、逃亡者タイプ。一つの居場所に定住しない人間であり、後者はパラノイア、真面目な働き者タイプを表す。著書「逃走論」はベストセラーとなり、先頃物故したRCサクセションの忌野清志郎も「ベイベー、逃げるんだぜ」という歌を献呈した。浅田が解説した「ポスト構造論」は郵政民営化とは直接関係はない。

2.中沢新一
東大人文科学研究科卒。東京外大助手時代に書いた「チベットのモーツァルト」がベストセラーとなる。チベット修行時代に空中浮揚でも経験したのか、オウム真理教を擁護していた。名探偵コナンの毛利蘭に「新一…」と慕われているのは別人。

3.栗本慎一郎
慶應義塾大学経済学部卒。「パンツをはいたサル」という著書を書いたぐらいなので、それまで氏はパンツをはいたことがなかったらしいが、帽子は必ずかぶっていた(メガネも)。経済企画庁政務次官を歴任した。

4.四方田犬彦
東大人文系大学院卒。八犬伝に半分足りない。マンガを哲学し、「GS-たのしい知識」(冬樹社)という季刊誌を創刊するも、9冊で廃刊。

5. 中森明夫
中森明菜の兄。ではない。「おたく」という言葉の生みの親と自分で主張している。

上に挙げた5人の他にも、数々のニューアカデミスト達が生まれ、消えていきました。

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ニューアカの功罪のうち、「功」の部分は、学問・学者のリベラル化と柔軟化をもたらしたことでしょう。ともすれば権威主義に陥り、他分野との交流を閉ざしてしまう傾向が強かった学問の世界がこれだけ手軽に多くの一般読者に受け入れられたことはやはり画期的だったと言えると思います。
一方で、「罪」の部分は「学問を流行化、ファッション化してしまったこと」だと思います。「ニューアカ」は多くの勘違いした人種を大量生産してしまいました。90年代になる前に、「広告代理店に乗せられた一過性のブーム」で終わってしまいました。

上に挙げた「ニューアカデミズムの旗手たち」は、昔程マスコミに取り上げられる機会はなくなりましたが、現在でもそれぞれの持ち場で地道に活躍されているようです。長い人生、一度でも輝いた時期があれば、それで良しとしますか。

(本文と写真は関係ありません)
posted by シモン at 06:00| 東京 ☀| Comment(11) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中沢新一氏がその著作でオウムに影響を与え、間違って感化された人達が信者になってしまったことは事実だったと思います。
そのことに対してなんら責任を取るわけでもないところを見ると、思想だの哲学だのといったものは、書いた本人にとっては当座の飯のタネに過ぎず、むしろそれを真面目に受け取って人生を誤った人間達が馬鹿を見る羽目になるんだなあとつくづく思いました。
他の4人の方々は、既に当時からあってもなくてもよいような無難な「お勉強」を披瀝しておられましたが・・

まあ人間、面の皮は厚ければ厚いほど生存には適してる、ということでしょう。
Posted by A2Z at 2009年11月03日 13:51
なんかあまり縁のない人ばかりですね。
全く話し変って、11月3日は天気が悪くなった記憶がありません。予報では大雨・強風で、雪の可能性もありましたが郡山は時々、小雨(雪混じり)が僅かに天気の中からちらついた程度で青空が広がっていました。
明治大帝のお力ですね。
Posted by デハ at 2009年11月03日 16:36
私も、栗本慎一郎以外は全然知りませんね。
栗本慎一郎はテレビの評論番組に出ていました。はっきり言って、一番嫌いなタイプの人でした。外見も、言動も。

11/3は明治天皇誕生日でしたね。
古来晴れが多い祝日といえば、体育の日が有名でしたが、最近月曜日にシフトされてからは雨が多いですね(今年もそうでした)。
Posted by ラー at 2009年11月03日 17:16
A2Zさん
そうです。明日で坂本弁護士事件発生から20年だそうです…早いですね。中沢氏は結局衒学者だったと私も思います。

デハさん
明治天皇のお陰ですね。こんな小話があります。
明治帝の侍従が、しきりに目をこする明治帝に
「陛下、何をされておられますか」
と聞いたところ、明治帝は
「目、いじってんのー(=明治天皇)」
とお答えあそばされたそうです。
(類話に「大将ってんのー。」「今乗ってんのー。(=今の天皇)」等があります)

ラー様
晴れですが、茨城は強風、大丈夫でしたか?NHKのニュースでやってました。お気をつけ下さい。
Posted by シモン at 2009年11月03日 19:57
名古屋は晴れていましたが、例年より早い木枯らしの一日でした。
80年代後半から学者・文化人が普通のお茶の間や大衆雑誌に登場した背景はニューアカの影響だったのですね。これは今でも民放の討論番組や雑誌の一部にその名残を留めています。
オタクは宅八郎の様な評論家を生み、宮崎勤の事件の影響で当時はキワモノ扱いでしたが、今ではオタクが薄く広く浸透し秋葉原は世界的なサブカルの聖地になっていますが、幸いにもオウム真理教の様な極端なカルトは以後出現してきません。当時と比べインターネットの普及で個人が入手出来る情報量が増えたせいで偏った思想に染まらないのか、それとも偏った情報に基づく思想に染まってしまうのか、未だ分かりませんが…
Posted by HB at 2009年11月03日 22:09
ニューアカデミズムの明らかな仕掛け人は雑誌「現代思想」の編集長(名前失念)でしょう。
カタい論稿集にもかかわらず数万部のオーダーで売ってました。論陣にはシモンさんのあげた浅田、栗本のほかに吉本隆明とか蓮實重彦とか柄谷行人とか木田元とかがいました。

なおこの流行はあくまでも人文科学の分野だけで、自然科学系の学者は静観(というか無視)していました。
近年、脳神経科学の分野がかつてのニューアカデミズムのような「活況」を呈しているようですが、どうなるんでしょうね。暴走しないと良いのですが・・
Posted by 一オールドフアン at 2009年11月04日 05:48
神奈川県警は、オウムが坂本弁護士を殺害しようとしていた情報を知りながら、弁護士が警察の悪事をも暴こうとしていたため、わざとオウムに殺させ、しかも、それを理由にオウムも捕えて、都合の悪いものを両方始末しようとしていた、という話を聞いたことがあります。


Posted by デハ at 2009年11月04日 19:52
HBさん
ひょっとしたら、日曜朝の討論番組にお笑いタレントや元スポーツ選手のような連中があたかも国民の声を代弁しているかのような顔をして参加するようになったのも、ニューアカの副作用なのかもしれませんね。
秋葉にうごめくカルトの匂いは、去年秋葉路上無差別殺人事件のときにたまたま近くにいた私としては、拭い去ることができません。

一オールドフアンさん
あー確かに。。そんな名前の数々がいましたね。「エピステーメー」やら「夜想」やらに。ちなみに冒頭に挙げた季刊雑誌「GS]って、「現代思想」の略なんですね。

デハさん
私は根拠のない謀略説には安易に同意はしない…のですが、そのあたりの話は確かに聴いたことがあります。
でも、坂本弁護士の死に加担したのは、神奈川県警もそうだったかもしれませんがTBSでしょう。
あの放送局は、わざと事件や騒乱を起こしておいて自分達の仕事を確保するようなところがあって大嫌いです。
Posted by シモン at 2009年11月04日 20:17
私もTBSとテレビ朝日が大嫌いです。もちろん、朝日新聞と毎日新聞と民主党と連合も嫌いです。
日本を保守本流に戻さなくてはなりません。

余談ですが土曜に仙台で、平成の奥羽越列藩同盟座談会のような講演を聴いて参りました。
ご主君に拝謁する栄誉を得たほか、伊達泰宗様が、「藩志会」と呼ばれる膨大な家臣たちに対する動員力と、将軍家・上杉家を含む旧大名たちに対する召集力を保持していることを知り、私の求める、東北地方を中心とした封建的保守も捨てたものではないと改めて思った次第です。
Posted by デハ at 2009年11月04日 21:52
>シモンさん
学者もタレントもスポーツ選手も違う土俵に上って良い面を出せれば問題無いのですが、日曜朝の某番組はTBSなだけあって偏った人ばかり出ていて嫌いです。むしろ次の番組の方がキワモノばかり取り上げ開き直っている分好感が持てます。
秋葉の通り魔事件の犯人は短期の派遣労働にしか就けない挫折感・孤独感から単身暴走に至りましたが、カルトはこの犯人ほど極端でない個人のもやもやした感情を教義の名の下組織化し暴走する怖さがあります。日本社会はオウム事件のインパクトが強い為、以後マスコミのカルト擁護はタブーとなっているようですが、秋葉事件と直後の大不況を機に派遣労働に依存した大手メーカーは悪、派遣労働者は善というカルト的な報道が今年前半まで幅を利かせていました。
Posted by HB at 2009年11月04日 22:19
デハさん
「平成の奥羽越列藩同盟座談会」面白そうな講演会ですね。
泰宗さんが今の伊達家の当主なんですね。
東北という地方の粘り強い人間性で、低迷する今の日本を活性化するようなアイデアでも創出されると良いですね。

HBさん
カルトやテロを煽るのは、いつもマスコミなんですよね。
ところでマスコミで不思議なのは、最近話題の結婚詐欺女の実名を何故どこも報道しないんでしょうか。殺人容疑が未確定だから?なのでしょうか。謎です。
Posted by シモン at 2009年11月05日 21:30
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