2009年11月05日

Robert Doisneau

ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)はフランスを代表する写真家です。

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私が高校時代を過ごした80年代前半、当然まだデジタルカメラなどはなくフィルムが写真の媒体でした。別に写真部だったわけではありませんが人並みに一眼レフを持っていた私は、カラー写真は色彩がより鮮明なリバーサルフィルムで撮っていましたが、より「芸術」っぽい写真(=と言ってもたかが素人高校生の青臭い代物ですが)は、モノクロフィルムで撮影することに決めていました。
その頃手本にしたのは、当時まだ存命だったフランスの写真家:ロベール・ドアノー (Robert Doisneau 1912-1994)でした。

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ドアノーの写真は、パリの普通の市民達の日常風景を写したものが多いのですが、ごく自然なユーモアに満ち溢れています。ドアノーの有名な言葉に、
「奇跡を待っていると、必ず起きるのだ」
というものがあります。街中をカメラをぶら下げて一日中歩き回り、忍耐強く「その瞬間」が現れるのを待ったことでしょう。そしてごく普通の市民や子供達が瞬間的に輝いた奇跡の時をシャッターで切り取ったのでした。

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ドアノーの写真には、街撮りの他にもスタジオで撮影された「静的」な写真もありますが、やはり多くのユーモアとウィットを感じさせてくれる作品は、名もない市民達を被写体にした街撮りに多いように感じます。
私も、海外旅行をする時は観光客の気安さで、訪れた街の風景を平気でデジカメに収めることが出来ますが、現代の東京で同じことが出来るかというと、ちょっと自信がありません。
「街撮り」は一歩間違えると「盗撮」になってしまうからです。ドアノーの代表作で、この記事の上から2番目の写真「市庁舎前のキス」のような作品を、2009年の有楽町辺りで撮影したら肖像権を主張される可能性が非常に高いと思います。

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「最高の写真、いつまでも心に残る写真は、カメラに捉えられる以前にまず心の中に思い浮かべられたものなのだ」というドアノーの遺した言葉を思い返してみると、現在の私の心に浮かぶ映像は、なにかもやもやしたはっきりしない虚像と実像の入り混じった複雑なものばかりで恥じ入る次第です。
posted by シモン at 18:00| 東京 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ロベール・ドアノー・・・まさしく「パリのエスプリを写した写真家」ですね。画面に映ったユーモアが、ギリギリのところで「上品さ」を保っているモノクロームの画面は素敵ですね。
我が家にも'96にドアノーの洋物カレンダーが壁にかかっていました。当時まだ没後2年だったわけですね。
Posted by FYI at 2009年11月05日 18:59
FYIさん
ドアノーのカレンダーが白い壁にかかったリビング、なんてお洒落ですね。
写真は、不思議と撮った人間の個性が映し出されるものです。その点絵画によく似ています。どんなに「模写」しようにも、その人の「筆跡」が出てしまいます。
Posted by シモン at 2009年11月05日 21:33
ごめんなさい、
今回の題材は守備範囲外でした。
教養のない自分が恥ずかしい・・・。

ところで♯45、絵追加しました
Posted by デハ at 2009年11月05日 22:03
日本にもいましたね。戦後の東京の街を撮りまくった、木村さん(下のお名前失念)。やはりパリと東京ではだいぶ雰囲気が違いますね。

デハさん、45話の文化祭編改めて読ませていただきましたよ。
Posted by 一オールドフアン at 2009年11月05日 22:33
デハさん
今回は写真の趣味の話なので、デハさんの知ってることで私の守備範囲外のことの方がずっと多いです。
#45、マッドサイエンティストの工藤博士のモデルは誰なんでしょうね?

一オールドフアンさん
木村伊兵衛ですね。作風が似ている二人、気が合ったらしく、パリで意気投合したことがあるそうです。
Posted by シモン at 2009年11月05日 23:26
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