2011年12月10日

あしたのジョー

真っ白に燃え尽きたボクシング漫画です。

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♪三度〜バッグに〜

ボクシングを扱った漫画には、「がんばれ元気」(作・小山ゆう)や「エイジ」(作・江口寿史)がありますが、何と言ってもその最高峰は70年代の名作「あしたのジョー」(原作・高森朝雄 画・ちばてつや)で間違いないでしょう。

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「あしたのジョー」の舞台は、ドヤ顔の人が多く居住する、東京は山谷のドヤ街です。ここで育った不良少年・矢吹丈は、はげ頭で常に眼帯をしている元プロボクサーの丹下段平を殴り倒し、そのボクサーとしての才能を段平に見出されます。
少年鑑別所に入所した丈に、段平は「あしたのために」という書き出しで始まる葉書を毎日送りつけます。そこには、「えぐるようにして打つべし!打つべし!」とか、ボクシングの手ほどきが書かれていたのです。
こうして、丈は鑑別所を出所する頃には一人前のボクサーに成長していたのですが、同じ鑑別所の中に、力石徹という、同様にボクシングの才能を持った男がライバルとして立ちはだかっていたのです。

作画家のちばてつや氏が、力石徹を描きあげてきたのを見て、原作者の高森朝雄氏(本名・梶原一騎さん)は、頭を抱えてしまいました。力石は明らかに丈よりも図体がでかく、体重別で争われるボクシングという競技では同じ階級になれないからです。
この矛盾を解決するために、力石は無理な減量をさせられ、丈と同じ体重になって戦うことが出来ました。そして乾坤一擲のアッパーカットで丈に勝利しますが、減量の無理がたたって他界してしまいました。
当時本当に行われた力石徹の告別式には多数の読者が弔問に訪れたそうです。

それでは、丈と力石以外のボクサーたちを簡単にご紹介しましょう。

マンモス西:本名:西はじめ。風大左衛門のライバル。うどんばかり食う。
ウルフ金串:丈の必殺技「クロスカウンター」を封じるため、「ダブルクロスカウンター」で勝利を目指すも、「トリプルクロスカウンター」を浴び、沈没。
金竜飛:東洋太平洋バンタム級チャンピオン。韓国出身。食事の前には、手洗いを欠かさない清潔好きな人。
カーロス・リベラ:ベネズエラ出身。減量に苦しみ、「飢えた黒豹」という渾名で呼ばれる。
ホセ・メンドーサ:メキシコ出身。面倒なことが嫌いなので、一撃で敵をパンチドランカーにしてしまう。丈も最終回でこの男と対戦し、真っ白の白髪頭になる。

このように「あしたのジョー」に出てくるボクサーたちは、いずれも貧しく、そんな彼らがひたすら戦い続ける姿は凄惨でした。

作画を担当したちばてつや氏は遅筆で知られ、半年連載してもまだ3ラウンドも終わってないこともあり、通常ですと1ラウンド=3分、1分の休憩をはさむので(3+1)×4=16分間ちょっとの出来事が半年にわたって濃密に描かれていたという計算になります。
そういえば、ちば氏の相撲漫画「のたり松太郎」でも、1年経ってようやく中入り後、という遅筆は有名でした。
原作者は(高森朝雄と偽名を使っていましたが)高名な梶原一騎先生でしたので、しばしば対立を起こし、そのたびにちば氏の方が引き下がっていたそうですが、そんなちば氏が引き下がらなかったのが、最終回のシーンでした。
最初に原作者から指示された最終回の原稿は
「メンドーサに敗れたジョーに、段平が「お前は試合では負けたが、ケンカには勝ったんだ」と労いの言葉をかけつつ大団円を迎える」というものでしたが、その内容に納得できなかったちば氏はこれだけは譲らず、「真っ白に燃え尽きた」という伝説の最終回のシーンを描ききったのだそうです。

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私の周りを見渡して、定年を迎えた60代の人達。おそらく矢吹丈と同年代(より少し下)だと思われますが、真っ白に燃え尽きることなく、まだまだ精力盛んな人ばかりです。

(本文と写真は関係ありません)
posted by シモン at 05:00| 東京 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | コミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は車田正美先生の「リングにかけろ」の大ファンです。この漫画も、最終回で主人公の竜と、ライバルの剣崎が相打ちになり、菊に見取られて昇天するかかれ方(勝負は、竜が勝ったが、彼もまた倒れた)でした。なお、竜は勝利と引き換えに文字通り死亡しましたが、剣崎は子供一人仕込むまでしばらく生きていました。
また、途中外人やギリシャ神話の神、アメリカ・イタリヤのマフィア、忍者まがいの変な奴らと団体戦で戦っていましたが(もはやボクシングではない、しかしそれが以後の少年ジャンプの基礎フォーマット化)、士那虎の言によれば、それらの戦いはたいした意味合いがなく、最初の初対決と最後の試合だけが重要で、最初に見たときその決勝の幻影を見た、と述べていました。

 「あしたのジョー」では、皆ボクサーは押しなべて貧乏でハングリーでしたが、「リンかけ」では貧しかったのは、主人公の竜を除くとレギュラーでは石松だけで、他に辻元とアメリカ選手の一部だけが貧乏で、
・剣崎財閥のあととりの剣崎
・河井継之助の子孫で越後の広大な武家屋敷に住み、ピアニストとしても活躍する河井武士
・志那虎蔭流という武道の師範の息子でやはり京都の豪邸に住む志那虎一城(関西弁は喋らない)のほか、
・仏蘭西の貴族であるバロア5兄弟
・伊太利のマフィアのボス
・アメリカの富豪
・独逸の医師
・黄金のヘリコプターに乗る希臘人
など、むしろ金持ちの方が多かったです。
階級は完全に無視され、160センチに満たない石松と、2mの黒人が対決していました。
Posted by デハ at 2011年12月10日 19:43
ちなみに、リンかけの登場人物は昭和39〜41年までの生まれなので、こちらに出入りしている方々とほぼ同世代です
Posted by デハ at 2011年12月10日 19:45
デハさん

リンかけですか。
「ギャラクティカ・マグナム!」
と見開き2ページで叫ぶと、相手が宇宙に飛び去り、星になってしまうマンガですね。

ボクシング漫画でなく、宇宙開発漫画(スペースファンタジー)に分類していました。
Posted by シモン at 2011年12月11日 08:35
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