2012年02月25日

警察の隠語

警察官は、捜査上の秘密を隠匿するために隠語を使います。

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ネットワーク社会になり、世界中に存在する多くの情報が容易に手に入るようになった反面、あまり公に出ては不味い情報にガードをかけるネットワークセキュリティの必要性も急激に高くなってきました。
そのためには暗号化だとか認証だとかいろいろな技術でプライバシーを確保するのですが、結局のところ窃盗犯と錠前の関係同様「イタチゴッコ」というのが実情のようです。

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江戸時代、遊郭では「遊里語」という、お客さんに分からないような言葉で会話が行われていました。これはお客さんの感情を害さずに従業員同士で業務連絡を取り合うための隠語の一種で、たとえば深川の遊郭では言葉の中にカ行の文字を挿入する「深川言葉」が使われていました:
(文例)
「ゲロウサガ、キト」
→「源四郎さんが来なさいと」

さて、警察同士でのコミュニケーションも遊郭同様、犯人の感情を害さずに逮捕するための業務連絡が必要で、多くの隠語が用いられているそうです。
ところが、日本ではTVの刑事ドラマでこういった隠語をすべてバラしてしまったため、警察関係者だけでなく一般庶民の広く知るところとなってしまい、隠語の意味を成さなくなってしまったものが多数あります。
今日はそういった「死語となった隠語」を回顧してみます。

デカ:刑事のこと。でかいからではなく、「角袖」=クソという服装をしていたため、カ+デを逆さにして「デカ」と呼んだため。
お宮入り:事件が解決しないまま時効を迎えること。「迷宮入り」から。現在では、専ら宇都宮に餃子を食べに行くとか富士宮にやきそばを食べに行くという意味で使われることが多いらしい。
ホシ:犯人のこと。矢の的の中心に描かれている黒点のことを「図星」と呼ぶことから。飛雄馬ではない。
ガサイレ:家宅捜索のこと。探す=サガスの「サガ」をさかさまにしてこう呼んだ。運び出す荷物がガサばる(北関東弁)からではない。
パクる:逮捕すること。本来は、明治時代に一部不良青年が物を盗むという意味で使った。語源はドイツ語の「packen(パッケン=包む)」から。
ゲロする:自供すること。消化器官中のものを吐瀉する行為から来た言葉。下呂温泉とは無関係。
チャカ:拳銃のこと。引き金を引く際「カチャ」という音を逆さ読みしたもの。チャカ・カーンとは無関係。
ハッパ:大麻のこと。大麻草の葉っぱから。発破=ダイナマイトとは無関係。
ブンヤ:報道関係者のこと。「新聞屋」から。
ホトケ:死体のこと。仏教徒に限らず、キリスト教徒の死体もこう呼ばれる。
マグロ:轢死体のこと。頭や尾を切られて魚市場の床に転がっている鮪に似ているため。
マルサ:国税庁査察部のこと。伊丹十三が映画でバラしてしまい隠語としての意味を失った。
マルタイ:捜査や護衛の対象になる人間のこと。これも伊丹十三が映画でバラしてしまったため、彼の遺作となってしまった。
マルセイ:精神異常者のこと。逮捕して立件しても不起訴になることが多い。北海道の銘菓マルセイ・バターサンドとは無関係。
メン:顔。「メンが割れる」で「顔を覚えられる」の意味。「イケメン」「ブサメン」が標準語となった今日、知らない人の方が少ない言葉と言えよう。
ワッパ:手錠のこと。会津料理で、手錠を掛けられながら食べる郷土料理を「ワッパ飯」と呼んでいる。

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以上いくつか思いつくままにご紹介してきましたが、やはり刑事物のドラマや「名探偵コナン」のような犯罪を扱った漫画等により、既に広く知られ陳腐化してしまった言葉ばかりです。
捜査の際に指紋を証拠として使うこともTVドラマで広く知られてしまったため、犯罪者にとって手袋が必須アイテムになってしまったことは、同じ「シモン」としては残念です。

(本文と写真は関係ありません)
posted by シモン at 05:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 事件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ワッパ…め…し…???
Posted by 国重 at 2012年02月25日 23:31
国重さん

冗談です。スイマセン
Posted by シモン at 2012年02月26日 08:33
「人は枕木 死ねば寿司」小学校の頃から頭にこびり付いている諺ですが、マグロ=轢死体?と漠然と思っていました。実際フォローも何もなかったので今だに本当の意味は不明です。
Posted by A・2001 at 2012年02月26日 14:16
轢死体がマグロなら焼死体は焼き鳥で食べ物の様子に置き換え、対象となる特定の身分や団体をマル○○と呼んでいるので結構分かり易い隠語だと思っていました。最近のネットスラングと同じですね。
Posted by HB at 2012年02月26日 14:55
A・2001さん

その言葉は筒井康隆が言い出したものですね。
元は「花は桜木 人は武士」からなんでしょうか?


Posted by シモン at 2012年02月26日 15:24
HBさん

80年代流行った渡辺和博さんの「マル金・マルビ」なんて言葉も、警察用語用例を真似て作った言葉かもしれません

ナベゾ先生こと渡辺和博さんも亡くなって5年経ちました。
Posted by シモン at 2012年02月26日 15:27
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