2012年02月29日

レキュトス

古代ギリシャの壷絵です。

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私が高校時代、ふと本屋の書籍棚で岩波書店の「或るアッティカの少女の墓」というタイトルの背表紙を見つけ、「アッティカって何処だろう?」と興味を惹かれて購入し、その興味深い内容に2日で読了してしまったことがあります。
「アッティカ」とは、ギリシャのアテネ周辺を指す言葉で、当時そんな言葉も知らなかった自分の無知も恥ずかしい思いですが、それ以上に、現在美術品として美術館に収まっているギリシャ美術の品々の多くが「副葬品」だったことに対して認識を新たにしました。

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レキュトスというのは、古代ギリシャ(AD5世紀頃)でオリーブ油を貯蔵するために用いられた壷です。そのオリーブ油は何に使われたかというと、亡くなった人の遺体を清めるために用いられました。そのため、レキュトスは墓の中にそのまま副葬品として納められた形で出土することが多いそうです。
レキュトスには日常生活や儀式(主として葬式)の模様を描いているものが多く、前述した「或るアッティカの少女の墓」で述べられているレキュトスも、竪琴を弾く少女(=死者)と暗い紅の服を着て立っている女性(=遺族)の絵が描かれています。

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古代ギリシャにはレキュトスの他にもアンフォラという2つの持ち手と胴体から成る壷や、オイノコエという水差しなど様々な陶芸文化が花を開きました。その中で、赤地の上に黒い絵を線刻した「黒像式」と、逆に黒地の上に赤い絵を描線で表現する「赤像式」、白地の上に彩色した「白地技法」があり、副葬品として用いられたレキュトスには「白地技法」で描かれたものが多いそうです。

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レキュトスは、ただ一回のみ使用され、副葬品として納められなかった場合は葬送の場で打ち割られたそうです。遺族はレキュトスに、死者への思いを託します。レキュトスの作者は、その絵付けに「死についての想念」を描き出しました。
レキュトスに描かれた人物が、すべて横顔ばかりなのは「来世に送るべき人物の姿を神に見せるため」なのだそうです。これはエジプト絵画にも当てはまります。
posted by シモン at 18:00| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
経済破綻が問題のギリシャですが、文化財を抵当に入れる考えはなさそうな様子です。
Posted by A2Z at 2012年03月01日 18:12
魂を絵にしたレキュトスのような芸術品を、
生生しい現代の経済などと一緒にはしたくありませんね。
Posted by シモン at 2012年03月02日 19:13
ビートルズのアルバム「Revolver」のジャケットで、
ポールだけ横顔なのが「ポール死亡説」の根拠だったことを思い出しました。
Posted by 無名X at 2012年03月02日 21:04
無名Xさん

改めて「REVOLVER」のジャケットを見返してみました。
確かにギリシャ絵画のような描線でポールマッカートニーの横顔が印象的に描かれていますね。
Posted by シモン at 2012年03月03日 09:15
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