2012年04月05日

有元利夫

バロック音楽のような、静謐な美の世界を描いた画家です。

arimoto_1.jpg「春」


絵画芸術家には概ね二つのタイプがあります。
即ち、長生きで多くの作品を残すタイプと、短命で僅かな作品しか知られていないタイプです。前者はシャガールなどのように「自分の好きな仕事=絵を描くことでストレスなく寿命を全うできる」ような人が多いのですが、後者は「僅かな命の間に魂の煌きを作品に残す」ような人達、と言えば良いのでしょうか。
今回ご紹介する有元利夫は、後者でした。

arimoto_2.jpg「雲の部屋」

有元利夫さんは、1946年岡山県の出身です。中学時代から油彩を始め、駒込高校から東京芸大を受験しますが失敗し、結局4浪の末5年目に入学します。陶芸家になる容子夫人と学生結婚し電通に勤めますが、退職してプロの画家としての道を歩み始めます。
有元さんの画風は、初期ルネッサンスの画家であるピエロ・デラ・フランチェスカやジョットの持つ様式美に大きな影響を受けています。また一方で20世紀のリトアニア出身の芸術家・ベン・シャーンの細い描線にも影響を受けながら、フレスコ画のような独自の静謐な美の世界を確立していきます。
この記事を読まれている方の中にも、作者の名前は知らないまでも、有元さんの絵画をどこかで見たことのある人は多いことだと思います。

arimoto_3.jpg「室内楽」

有元さんは、よく音楽(特にバロック音楽)を題材にしています。冒頭の掲げた「春」という作品はヴィヴァルディの「四季」から「春」をテーマにしています。油彩作品のみならず、リトグラフ(版画)作品や彫刻作品でも、多くの音楽にまつわる作品を残しています。

arimoto_4.jpg「厳格なカノン」

83年に長男が誕生したばかりの有元さんは、85年に肝臓癌で急逝します。享年38歳の若さでした。
有元さんの作品の多くは、麹町三番町にある「小川美術館」に収蔵され、今でも多くの絵画ファン・音楽ファンの目を楽しませています。
posted by シモン at 18:00| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
クラシックのCDのジャケットで見たことがあります。
音楽を感じさせる絵画だと思います。
Posted by ラー at 2012年04月05日 21:35
私の大好きなアーティストです。
これからも80年代に逝去したアーティストを紹介してください(リクエストしてしまいます)
Posted by FYI at 2012年04月06日 12:18
ラーさん

有元さんの絵はバロックや中世の音楽の世界を視覚化しています。
Posted by シモン at 2012年04月07日 16:19
FYIさん

そういう記事を近いうちに書いてみますね。
Posted by シモン at 2012年04月07日 16:21
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