2012年05月09日

キュクラデス美術

古代エーゲ海の文化です。

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キュクラデス(Cyclades)諸島は、エーゲ海中部の島々です。中心にあるデロス島を「囲んでいる」ことから、英語の「Cycle」のギリシャ語的語源になっています。
この島々に、紀元前3200〜1500年頃の青銅器時代初期の頃に多くの様式化された大理石像が制作されました。鼻以外の造作は一切省略された様式美は、その後のギリシャ彫刻の写実文化と異なり、一種の「抽象芸術」です。

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80年の秋、国立西洋美術館で「ギリシャ美術の源流:グーランドリス・コレクション」と題してキュクラデス諸島からの出土品の美術展が行われ、私も見に行きました。
出展されたのは工芸が132点、石偶が78点の計210点というものでしたが、数々の大理石像には不思議に心を動かされました。

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この当時のキュクラデス諸島の住人たちがどんな生活をしていたかは、文書としての記録物が残っていないため、銅製品の工芸が盛んで海上で交易をしていたこと以外、殆どわかりません。
しかしそれゆえに、工芸品や偶像の姿に少しでも生活の痕跡を認めることで想像力が広がっていきます。上の像は、ハープを演奏している姿でしょうか。

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キュクラデス諸島では、1880年代に考古学的に発掘された後、暫くはあまり世の中に知られていなかったのですが、20世紀半ばにその抽象的な様式が「現代的」と受け止められると、多くのコレクターが競って求めるようになりました。その結果遺跡は荒され、模造品も多く出回るようになり、キュクラデス文化の体系的な研究はほぼ不可能になってしまいました。

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キュクラデス諸島の南端に位置するサントリーニ島は、世界で最も美しい観光地の一つで、エーゲ海クルーズの中心地でもあります。機会があれば、是非訪れてみたい土地です。
posted by シモン at 18:00| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
原始美術は、見方を変えると「超現代アート」にもなりますね。

人類の歴史の輪廻を感じました。
Posted by FYI at 2012年05月09日 19:52
抽象芸術は、具象芸術と違って様々な想像力を喚起させる効果があるようですね。
Posted by A2Z at 2012年05月10日 19:29
FYIさん

古代への回帰が現代アートのひとつのテーマですしね。
Posted by シモン at 2012年05月12日 11:22
A2Zさん

ミロのビーナスも、両腕がない分想像力を喚起させますよね

両腕が揃ってたら、単なる「良く出来たギリシャ彫刻」のひとつに過ぎなかったかもしれません
Posted by シモン at 2012年05月12日 11:23
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