2016年04月19日

中世シチリア王国

講談社現代新書から出版された、高山博さんによる中世シチリア王国の通史です。

chusei_sicily.jpg

高校時代、理系だった私は日本史はリタイアした代わりに世界史を履修しました。
高校の世界史は、つまるところ西欧史と中国史で、東欧だとか中東だとかイスラム史は殆ど教えられないか、取り上げられても片隅に追いやられていました。

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地中海の歴史についてもその通りです。世界史での地中海とは、西ローマ帝国の滅亡(と、コンスタンチノープル陥落による東ローマ帝国の滅亡)で幕を閉じています。
しかし実際は、南イタリアは西欧・ビザンツ・イスラムの三つの文化圏の交差点であり、シチリア島はそれら文化の融合点となって、首都パレルモは「12世紀ルネッサンス」の発信地となっていたのでした。

本書は、1999年にシチリア王国の碩学である東大の高山博教授によって書かれた入門書です。
私の書棚に長らく積ん読状態となっていましたが、先週の通勤電車の友として、一気に通読しました。
それは、所謂「通史」としての杓子定規な歴史的事実の羅列よりも、豊かで再現性に満ちたダイナミックな歴史の動きが手に取るように伝わってきたからです。もちろん、観光として訪れる場合のシチリア島自体が魅力に溢れた場所であることも理由の一つです。

中世シチリア王国は、傭兵だったノルマン人によって建国されました。ノルマン人というと、北フランスのノルマンディ公国を発祥とする民族です。そんな彼らがどういう経緯で南イタリアのシチリア島にやってきたかは不明ながらも、ノルマンディで「食い詰めた」人々がシチリアで一旗揚げようと移動してきたことは疑う余地もありません。

そんなノルマン人である、オートヴィル家のロゲリウス1世が兄のロベルトゥス・グイスカルドゥスと協力し、諸勢力を軍事力で制圧することでシチリア島と南イタリアを含む「シチリア王国」を1130年に建国します。
しかし、この王国には前述のようにノルマン人の他にギリシア系やイスラム系の官僚や軍人が多数存在し、宗教的には寛容になることが必然でした。
その結果、幾多の文化が融合した独特の文化圏を構成する結果となったわけです。

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西欧カトリックの教会の内陣に、ギリシア文化のモチーフであるモザイク壁画があり、外形はイスラムのドームで覆われている、というような遺産を目の当たりに出来るシチリア島。是非一度訪れてみたいです。
そういう意味では、本書は歴史の本にして、シチリア観光へのいざないをガイドブック以上に饒舌に提供してくれています。

(本文と写真は関係ありません)
posted by シモン at 05:00| 東京 ☀| Comment(38) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
しちーり あっ あっ
前田あっちゃん。中央集権顔!

中世シチリア王国は、十字軍の時代にもかかわらず文化の交差点でそれぞれの民族が平和に暮らす「合衆国」でした。
ただ、この蜜月は一世紀強ぐらいで、後期になるとイスラム人たちは強制移住させられています。
Posted by 藤原 at 2016年04月19日 05:11
快晴となつた、甲府市内の朝。
昨夜の「鶴瓶の家族に乾杯」とと姉ちゃん役の、高畑が出ていた。

という、回でした。
サテ藤原さん。たまにはまともな事を書かれますナ。いつもの詩がないと、ちと寂しい。
Posted by 百足衆 at 2016年04月19日 07:58
引き続きですね。
まずくないです。羨ましいです。
私も欲しいです。これからもお願いします。
Posted by 片山 at 2016年04月19日 08:20
中世シチリア王国の食べ物は、パスタだったのでしょうか?
Posted by ラー at 2016年04月19日 10:10
パスタは中国から麺文化がイタリアに伝搬したものだそうです
Posted by 燈台森 at 2016年04月19日 11:59
シチリアでは、海鮮パスタやマリネがお薦めですよ。

去年の秋に旅行して来ました。
Posted by 村上 at 2016年04月19日 12:31
イタリアといえば、2002年のワールドカップで韓国に負けた国だね。
Posted by 韓流大好きおばさん at 2016年04月19日 12:44
シチリア王国・んわちゅちゅ
Posted by 花…もゆバニー at 2016年04月19日 14:24
花もゆさん。
そうだねシチリア王国だの真田丸だの放送しないでイニョプの道とか花もゆとかを再放送して欲しいね全く。
Posted by 韓流大好きおばさん at 2016年04月19日 15:09
韓流さん

シチリア王国はテレビドラマではありません。
Posted by 菅原 at 2016年04月19日 19:11
韓流ばっか見てると頭が悪くなるか、
頭が悪い人が韓流を見たがるのか、どっちかわからないけど相関関係があることはわかりました
Posted by ジョニー at 2016年04月19日 19:37
 こんばんは。

 ラーさん、燈台森さん、「パスタ」というと、私たち日本人は「スパゲッティ」などを想像してしまいますが、結構意味が広くて「弾力のある、炭水化物の練り物」くらいの意味に使われています。

 例えば、ジャガイモから作ったニョッキもトウモロコシから作ったポレンタも広い意味でパスタに含まれます。また、ケーキなども小麦粉を練って作りますので、イタリアでは「ドルチェ」以外に「パスタ」と呼ぶ人もいます。

 歴史的にも結構古く複雑で、古代ローマ時代にはすでにラザーニャのようなものが食べられていたらしいと言われています。

 これは今でいう「生パスタ」だったのでしょうが、乾燥パスタも9世紀頃アラブの方で始まったという説があります。乾燥パスタはヨーロッパではシチリアが最初だったといわれています。パレルモから30キロほど離れたところにトラビーアだったかトレッビアだったかいう街(ごめんなさい、記憶があやふやです)で大量に生産されていたといわれています。

 14世紀半ばになるとフィレンツェあたりでは「ヴェルミチェッリ(小さなミミズといった意味です)」という今のスパゲッティのようなものが食べられていたようですが、アラブ由来説も中国由来説もあるようです。私としましては、中国由来説の方がうれしいのですが、以前調べていた時にこれを裏付ける本があまり見つからず、悔しい思いをしたことがあります・・・

・・・というわけで・・・

ラーさん
 今のスパゲッティと同じものではないにしても、パスタは食べていたと思います。

燈台森さん
 もしご存知でしたら、パスタ中国由来説の載っている本をご紹介ください。

村上さん
 はじめまして。私はまだシチリアに行ったことがないので羨ましいです。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 19:59
 書き忘れました。ケーキもパン(イタリア語では「パーネ(pane)」といいます)も同じ小麦粉の練り物ですが、パンのことは特にパスタとは呼んでいないようです。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 20:02
熊本城の本丸御殿は無事なんでしょうか?石垣が崩れたとか、櫓が全壊したと言う話は耳するけど、本丸御殿がどうなったのか、そのの情報が一切入ってこないしネットで調べても出てこない
Posted by 田舎帝王 at 2016年04月19日 20:04
パスタの定義は面白いですね。

日本人が麺と言うと、細長いラーメンしか思い浮かべないけど、本場中国で麺と言うと、小麦粉を使った料理全般を指すのと同じ感覚ですね。
餃子も麺料理のひとつになるんですよね。
Posted by 田舎帝王 at 2016年04月19日 20:08
田舎帝王さん、こんばんは。

そうなんです。その意味でも、パスタと麺は似ていますね。

でも、やっぱり美味しいものは美味しい。理屈抜きにそう思います。今、心から食べたくなりました。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 20:24
藤原さん

確かにそのとおりです。
でも、三民族が一緒に文化を作り上げた痕跡は、モンレアーレ大聖堂やラ・マルトラーナ教会の天井画やモザイク画に、今も生きています。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:26
百足衆さん

鶴瓶の家族に乾杯!のレポート有難うございます。
まあ、一種の番宣なんでしょうけど、地元の人にとっては良い体験なんでしょうね。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:28
片山さん

それ聞いて、ほっとしました。
まあ、片山さんのこれまで頂いている好意的なコメントでそれはないな、と思いつつも、いつも削除圧力を受けていることもあって、前回はちょっと不遜な物言いだったかもしれません、お許しください。

にしても貴殿も、「交響詩」と即答されるあたり、なかなかお詳しいですね。
これからも引き続き宜しくお願い申し上げます。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:30
ラーさん

多分、海鮮ラーメンだったと想像します(嘘
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:31
村上さん

いいですね。シチリア島をご旅行されたのですね。
私はまだ行ったことがありません。
この夏は、シチリアを外してマルタに行くつもりです。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:32
菅原さん

まあ、目を合わせない方がいいと思いますよ。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:33
田舎帝王さん

本丸御殿もそれなりのダメージを被っていると想像されますが、まだ調査どころではないでしょうね。その前段階の、救出作業と物資補給が優先なのでしょう。

餃子も中国から西に伝播して、ロシアではペリメニと呼ばれてますね。水餃子=ラーメンと連想すると、焼き餃子=焼き蕎麦ですか。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:37
GATTOさん

私がイタリアネタの記事を書くとき(前回はイタリア軍の戦車でしたが)、必ずGATTOさんのお顔を想像するようになりました(=まだお会いしたことはないのにw

すっかりここに常連として定着してくださって、嬉しい限りです。
またこれからも不完全なイタリアネタを書きますので、補完してください。
Posted by シモン at 2016年04月19日 20:39
GATTOさん、こんばんは。
「世界地図から食の歴史を読む方法―料理や食材の伝播に秘められた意外な事実とは? (KAWADE夢新書)」

これが私のパスタソースw
Posted by 燈台森 at 2016年04月19日 21:11
シモンさん、こんばんは。

私の顔ですね。「鉄腕アトム」の御茶ノ水博士そっくりですよ(笑)。「名探偵コナン」の阿笠博士とも(爆)。眼鏡をかけていて髭は生やしていませんので二人を足して2で割った感じでしょうか。

1960年生まれの55歳、お煎餅で有名な埼玉県草加市出身ですが、現在は千葉県の大網白里という海の近くに住んでいます。

イタリアとモーター・スポーツとネコと音楽(特にプッチーニ)が大好きですが、今はどれも縁遠いなあ・・・

イタリアねたのお話楽しみにしております。あらためましてよろしくお願いします。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 21:46
GATTO様シモン様

ご返信、有難うございます。
私はドイツに住んでおりまして、決してイタリアに詳しい訳ではなく、Pauschalreise(パック旅行)で行っただけです。
治安がちょっと・・・と聞いておりましたが、それほど心配することもなく、海鮮料理や教会を楽しむことが出来ました。

夏は欧州はどこもオペラが休みなので秋に行きましたが(というか、夏休み期間中が仕事だったこともあり)、テアトロ・マッシモのヴェルディのオペラは素晴らしかったです。

ちなみに、2015年の夏もシチリアではタオルミーナのギリシャ劇場でオペラやコンサートが楽しめたようです。
Posted by 村上 at 2016年04月19日 21:51
燈台森さん、良い本を教えていただき、ありがとうございます。やはりアラブよりも中国由来の方がうれしいです。

私の方は、今本が手元にありません。明日にでも図書館に行って調べてきますね。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 21:53
村上様、こちらこそお返事ありがとうございます。

ドイツにお住まいですか‼︎ ますます羨ましいです。どうかそちらのお話を聞かせてください。これからよろしくお願いします。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 22:04
日本では焼き餃子が主流ですが、中国では水餃子が主流で焼き餃子は異端扱いらしいですね

Posted by 田舎帝王 at 2016年04月19日 23:09
はい、中国では異端というよりも悪く言えば「残飯処理」という感じでしょうか。チャーハンなどもそれに近いようですが、日本人が好きなので立派なレストランでも出しているようですね。
Posted by GATTO at 2016年04月19日 23:33
GATTO様

焼き餃子、チャーハン、ラーメン、トンカツ、カレーライス。
いまやどれも立派な「日本食」ですね。
Posted by 無名X at 2016年04月20日 05:14
無名Xさん

あとナポリタンもですね。
Posted by 菅原 at 2016年04月20日 05:52
おはようございます。

無名X様
私の周辺でも、カレーライスを日本食と思っていた欧米人は結構いました。

菅原様
イタリア生まれでないスパゲッティも多くありますね。ナポリタン、多くのイタリア人は気持ち悪がるようですが、たまに好きな人もいたりして驚かされます。
Posted by GATTO at 2016年04月20日 07:40
トルコ人は食べれないとトルコライス
Posted by デハ at 2016年04月20日 12:25
たらこスパはイタリア人にも好評だったとどこかで聞いたことがあります。

トルコライス・・・長崎名物ですよね。親日国なのに何故か日本では食べ物といい風呂といい、良い名称をつけてもらえないトルコ共和国。
Posted by シモン at 2016年04月20日 18:59
シモン様。
不当に扱われている国としてはデンマークもあります。隣国のスウェーデンが「瑞典」と「瑞々しく典雅」なのに、デンマークは「丁抹」、甲乙丙丁最下位の丁+泡沫の抹です。デンマークとは一度も敵対したこともなく、王室とわが皇室も親しいのに、ひどい扱いです。
「英吉利」「瑞典」が最も良い字をあてられた国ではないでしょうか。
Posted by デハ at 2016年04月20日 20:10
蛸、ニンニク、唐辛子の3つは、その過半数を日本、イタリア、中国、南朝鮮の4国で消費するらしいですね。

米や魚を食べる点から、イタリアは欧州で最も東アジアに近い食文化を持つ国と言えそうです。

パスタにしても、ハート型やねじれたものなどもありますが、いずれにしても中国に起源があるものがつたわった、日本のラーメン、うどん、そばとは従兄弟ぐらいの関係の食品ですね。
遠い祖先が同じと言う点では、まるでわたしと藤原さんのようです。(私の家は、殿様が幕府に藤原氏と届けて有り、国会図書館で確認できました)
一方、冷麺は日本に住む北朝鮮出身者が盛岡で生み出したものであり、南朝鮮とは全く関係ありません。
それなのに、「本場韓国冷麺」「冷麺の新羅」などという店を見ると、反吐がでます。
大嫌いな日本、大嫌いな北朝鮮に寄生しないと生きられない史上最低の国ですね。
Posted by デハ at 2016年04月20日 20:25
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